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「勝利を追求する」って悪いこと?

  • 執筆者の写真: 冨岡耕児
    冨岡耕児
  • 5月22日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月23日


こんにちは。

トミーです。

ご無沙汰しております。


今日は、最近ジュニア育成現場で

改めて考えてみることにした

「勝利を追求すること」について、

少し深掘りしてみたいと思います。


つい最近まで、私は「勝利を追求する=勝利至上主義」だと思い込んでいました。


つまり、勝利を追求することは「勝たなければ意味がない」「負けたら何の価値もない」といった、少し極端な考え方を持っていました。


でも、今は少し見方が変わりました。


スポーツには勝ち負けがつきもので、

それを楽しむのも、スポーツの大事な一部です。

だから、「勝ちたい」と思う気持ちは、決して悪いことじゃないし、ごく自然なことだと思うんですよね。


先日、ラグビーアカデミーの選手たちに「試合で勝ちたい?それとも負けてもいい?」と聞いてみたら、全員が「勝ちたい」と答えました。

そらそうですよね(笑)。

勝ちたくて当たり前。


その日のゲームスキルは、「勝つこと」をテーマにしたので、いつもとまったく違う空気感で、熱くなりすぎて、タッチルールでぶつかりにいくし、時には喧嘩まで起こるくらい熱い試合になりました。


怪我しないか心配もしつつ、

内心「いいぞいいぞ」と思っていた自分がいました。

また選手の楽しい、悔しい、腹が立つなど色んな感情が混ざった状況みて良い環境設計ができてるなと手前味噌ですが、思いました。笑


とはいえ、ここでは勝利を追い求めることには注意も必要だということを皆さんと共有できればと思います。


例えば、

・勝てば過剰な自信や慢心につながることがある

・負けたときに、無力感や挫折感に苛まれてしまうこともある

・やりすぎると、バーンアウト(燃え尽き)してしまう可能性も。


こうした心理的リバウンドがあることを、スペインサッカーチームの名門ビジャレアルの育成コーチである佐伯さんもおっしゃっていました。


では、勝利を追求しながらも選手が成長できるコーチングとはどうあるべきか?

私が今、意識していることを以下にまとめてみました。


勝利と成長を両立させるコーチング 7つのポイントとして。


1. 最低限の心理学知識を持っておく

技術や戦術だけでなく、情動的変化が激しいジュニア世代の心理的なケアにも対応できるよう、最低限の(スポーツ)心理学を学ぶこと。


2. コーチのエゴを手放す

「勝ったら有名になれる」「評価されたい」といった、指導者自身の欲を排除すること。また選手の成長を焦らず、見守れること。


3. 選手が結果とプロセスの両面から自分は学べているという体験をコーチは提供する

例:「負けたけど、先週練習したことができた場面をあった。次はもっとこうしよう」

  「勝てたのはこの1年間パスの練習をやり続けたからこそ」

「今の得点は何が上手くいったから?」など。


4. 問題解決型より、未来志向型

「できてないこと」ばかりに目を向けず、「できるようになったらもっと楽しくなるよ」と未来の姿を想像させるコーチングを意識すること。


5. コーチはコミュニケーションにおいて何をしているのかを知る

今、自分は「要望している」、「提案している」、「質問している」など。

自分が何をしているのかがわかると選手とのコミュニケーションギャップに気づきやすくなる。


6. フィードバックで必ずアクノレッジメント(承認)する

フィードバックでは、

①できていることの承認 → ②改善点の提案 → ③期待の声かけ、という順番を意識する。

例えば:

「A君、走るスキルは高く、前進できているね(承認)。あの場面でパスも選べたらもっと味方が前進できたと思うよ。パスしてみてはどう?(改善点の提案)。A君なら必ずできると思う(期待)」

選手が「やりたい、やってみたい」と感じられるように伝えることがポイントです。


7.個別対応する

特にジュニア世代は身体発達速度も技術の差も大きく違うので、選手が持つ課題はそれぞれ違うという認識をしておく必要があります。


最近強く意識していることを書かせて頂きましたが、勝利を追求する中で大切なことは、勝たなければ意味がないではなく、勝利追求を「手段」として使い、選手の内側から湧き出る成長意欲を育てる環境設計を、私たち大人が整えていかなければいけないなと改めて思っています。


まだまだ試行錯誤の連続ですので、

コーチとして「自信」と「疑い」の両方を持ち続けながら、子どもたちの育成に関わっていきたいと思っています。



 
 
 

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