日本ラグビー界「移籍」の光と影
- 君島 良夫
- 6月28日
- 読了時間: 3分
こんにちは。今週のブログ担当のヨシオです。
キクさん、みやっきーに続いて、僕の「移籍」にまつわる実体験を綴りたいと思います。

社会人になってから3度の移籍を経験しましたが、これらは僕にとってかけがえのない財産になりました。ラグビーは人数が多いスポーツなので、毎シーズン新しいチームメイトとの出会いがあり、求められるプレーや役割も変わっていきます。この変化こそが、アスリートとして、そして人間として成長できる最大のチャンスだと思っています。
しかし、日本ラグビー界の「移籍」には深刻な課題があります。
プロ選手と企業所属選手が混在する特殊な環境では、会社員選手の移籍は非常に難しいのが現実です。これは僕自身が現役時代に体験したことです。
あるシーズンの終了直後、「来季の契約更新はできない」と突然の戦力外通告を受けました。何の前触れもなく下されたその通告は、僕のラグビー人生で最も衝撃的な出来事の一つでした。そのシーズンはほとんどの試合に出場し、確かな手応えを感じていただけに、まさに青天の霹靂でした。その後、プレーを続ける場を探そうと動きましたが、移籍市場はほぼ終了しており、どのチームもメンバーが確定している状態でした。企業所属である以上、移籍には「退職」が伴い、無職の状態で新たな道を模索するか、社業に専念するかの選択を迫られました。当時、同じように高いレベルでプレーを続けたいと思っていた仲間の多くは、やむなく社業を選ぶ選択をしていたように思います。
結局僕は会社を退職し、プロ選手としての道を選びました。ただ今でも思います。もしシーズン途中に戦力外の可能性を知らされていたら、もっと違う選択肢があったのではないかと。
この問題は、リーグワンに移行した今も解決されていません。今シーズンも、同じ悩みを抱える選手が多数いると聞きます。シーズン終了まで退団が発表されないため準備期間が不足していること、企業所属選手の移籍には退職がつきまとうということ、プロ選手に比べて移籍活動期間が極端に短いことなど。改善すべき課題は山積みです。
僕の実体験から強く訴えたいのは、「通告時期の早期化」です。せめてシーズン中盤に可能性を知らせてもらえれば、選手は次のステージを探る行動を起こせます。家族と将来を話し合う時間も取れます。最後になるかもしれないその一日一日を覚悟を持って過ごすことができます。また、企業選手の移籍相談窓口も必要かもしれません。当時に比べるとその風通しは良くなってきていますが、まだ改善の余地はあると感じています。
移籍や引退といったキャリアの選択は、選手自身が決めるべきものです。全ての選手が自分のキャリアを描ける環境が整えば、未来はもっと良くなるはずです。この問題に直面している選手たちの声が、日本ラグビー界を変える一歩になります。一人でも多くの選手が、自分の可能性を諦めずに挑戦できる未来を創っていければと思います。
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